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第83回日本血液学会学術集会開催報告

横山寿行

日本血液学会学術集会ついに仙台へ!

2021年9月23日から張替秀郎教授を会長として,第83回日本血液学会学術集会が開催されました.新型コロナ感染拡大の影響をうけ完全ウェブ開催になったものの,6500名を越える方々の参加をいただき,盛会のうちに10月16日終了となりました.張替教授のご指示のもと,我々医局員も主催校の一員として開催準備,当日業務に携わることができましたので,学会当日の内容に加え,準備期間の貴重な経験も報告させていただきます.

 

仙台開催準備

学会を運営する会社が日本コンベンションサービスに決定し,2020年1月ごろから具体的な開催準備が始まりました.その時までに,張替教授によって本学術集会のテーマ「恒常性と復元力」,会場を仙台国際センターにすること,特別講演の大枠が決定しておりました.また,学会のポスターについては,宮城県立がんセンター鎌田真弓先生のご尽力により複数の案が早々に完成し,その中から実際に使用するポスターを選びました.鎌田先生にはこれまでもポスター作成で度々お世話になっておりますが,今回も素晴らしいものを作成いただきありがとうございました.

開催準備は新型コロナウイルス感染状況の影響を受けながら進みました.2020年4月に全国で緊急事態宣言が発出,6月には昨年10月に京都で予定されていた第82回日本血液学会学術集会がウェブ開催中心に変更となりました.その頃は,1年あれば仙台での開催も可能ではないかと考えていたのが思い出されます.現地開催を目標に,各セッションのスケジュール割り振り,演者,座長候補の選出などが進められていきましたが,感染の終息がなかなか見通せず,2021年夏前には現地とオンラインを併用するハイブリッド開催にすることで決定となりました.このハイブリッド開催は,一般口演の座長,演者はできるだけ現地参加していただき,視聴者は現地でもウェブでも参加可能という形式です.これにより,会場規模,レセプションの縮小などが可能になります.また,張替教授よりハイブリッドであってもライブ感を大事にしたいとのご意向もあり,一般演題は学会開催期間の3日間,ライブ配信のみとなりました.最終的にはこのハイブリッド開催も断念し,完全ウェブ開催になりましたが,これが決まったのは新型コロナウイルス感染拡大第5波が始まってからです.

学会では会長が決定する特別講演,シンポジウムの他,張替先生ご指示のもと,医局員が中心となってまとめたものもあります.一つはオリジナル動画作成です.動画は大西康先生を中心に作成され,動画イメージの決定から出演者,業者との連絡調整を担当頂きました.学会期間中ご覧になった方も多いのではないかと思いますが,撮影日の天候にも恵まれ,学会テーマに合った非常にすばらしい映像ができたと自負しております.出演いただいた患者さんにも感謝申し上げます.

もう1つはクリニカルディベートです.3日目のかなり長時間を占めるセッションですが,こちらは福原規子先生が担当しました.演者の選定から連絡,視聴者投票を含むセッション構成を考えていただきました.完全ウェブへの移行が決まった際は急な変更が必要でしたが,臨機応変にご対応いただきスムーズな進行で,非常に多くの方のご視聴をいただくことができました.

学会開催準備は学術発表に関するものばかりではありません.学会バッグやランチョンセミナーの弁当の選択,レセプション会場の選定などです.様々な気配りとセンスが必要と感じました.運営会社から様々な提案がありましたが,こちら側の意見も聞いていただき,最終的には張替教授が決定されました.このような学術発表以外の準備にもかなり時間を使っていたように思います.完全ウェブになり,日の目を見なかったものもありますが,これから品々の発送を予定しています.お届けするものを楽しみにしていただければと存じます.

 

完全ウェブ開催へ

今年7月後半ごろから再び急激な新型コロナ感染拡大が始まりました.この第5波の影響で,仙台国際センターに大人数を集めることが難しくなり,現地開催を断念することになりました.完全ウェブ開催に決定し,対応を始めたのは開催1ヶ月位前です.オンライン開催の場合,座長を置かずオンデマンドで録画した口演発表を流すだけにすることも可能です.しかし,張替教授のライブ感を大事にしたいとの方針もあり,一般口演は当日その場でウェブ参加して発表することも可能とし,演者は質疑応答にライブで参加いただくこととしました.この形式の懸念は,各演者,座長が時間通りウェブ参加してくれるのか,通信環境の問題で接続ができなかったり,発表が途切れたりしないかという点です.結果的にはこの懸念は取り越し苦労でありましたが,実際に始まる前まではもしかしたらという不安がありました.

 

開催初日,2日目

開催初日9月23日は秋分の日の休日で,朝から快晴の一日でした.医局スタッフは,トラブルに備え,仙台国際センターの一室で待機することにしました.8時50分ごろから張替教授のオープニングビデオメッセージがあり,学術集会がスタートしました.いずれのセッションもスムーズな進行,発表で懸念していたような通信トラブルや,スライド画面共有の問題は見られず,発表されている先生方もオンラインに慣れている印象でした.しばらく続いたコロナ禍で,講演形式も変化し,多くの方がオンライン発表に習熟していたことが大きかったと思います.我々の作成したオリジナル動画は,視聴ホームページのトップにリンクがあり,多くの方に視聴していただけるようになっていました.初日の一番の注目は張替教授の会長講演でした.ご専門の鉄芽球性貧血に関する内容を中心に,ヘムの役割,赤血球造血,そして東日本大震災についてもお話しいただきました.これまでの研究業績の意義を改めて認識させる御講演であったとともに,昔の研究結果を聞くことにより,その当時のことが思い出され,懐かしい気持ちが湧き上がってくる内容であったと思います.会長講演前の空き時間に,待機していた医局スタッフみんなで第一会場の舞台に上がり,記念撮影する時間をいただきました.仙台で現地開催できなかったことは非常に残念でありましたが,記憶に残る貴重な時間になりました.夜は定時社員総会の後,浅野祥氏による津軽三味線ミニコンサートがウェブ配信されました.幸運なことに,現地にいた我々は生ですばらしい演奏を聴くことができました.

2日目は平日で通常の病棟業務もありましたが,初日と同様,一部の医局員には現地待機をしていただきました.7時55分のモーニングセミナーに続き,プレナリーセッションやシンポジウムが多く予定された日でしたが,初日と同様に大きな問題なく進行しました.今回の学術集会は,一部の特別講演,教育講演を除き,多くの口演は3日間のライブ配信のみでした.このため,現地開催の時と同様,その時間に聴講しなければ後で聞くことはできません.その甲斐もあり,平日にもかかわらず多くの方々にご視聴いただくことができたのではないかと推察しています.

 

最終日,その後

最終日の9月25日は土曜日であり,特に多くの方々にご参加をいただきました.最後を飾るにふさわしい学会賞受賞講演の他,Tomas Ganz先生の特別講演がありました.また,福原先生のご準備されてきたClinical debateが朝から開催されました.白血病,移植,悪性リンパ腫,骨髄腫の4つの分野についてディベートが行われ,どのセッションも500人を超える非常に多くの視聴を集めていました.この日も一日,大きなトラブルなく経過し,16時10分から張替教授の閉会のご挨拶があり,3日間のライブ配信期間は終了となりました.終了後,本来であれば,打ち上げにでも行きたいところでしたが,仙台にまん延防止重点措置が続く中,断念せざるを得ませんでした.

なお,今回の学術集会は,我々の医局,関連病院から例年以上に多くの演題発表がありました.口演,ポスター合わせ大学から3日間で13演題,関連病院から10演題が発表され,多施設に協力した演題を含めるとさらに多くなります.お忙しい中,ご協力いただいた先生方には心より感謝申し上げます.

ライブ配信は3日間で終了ですが,教育講演や特別講演の一部は引き続きオンデマンド配信が行われました.10月15日にその配信も終わり,第83回日本血液学会学術集会は全てのプログラムが終幕を迎えました.現在も学術集会参加者や演者,座長へお礼の発送準備が続いていますがそれもまもなく終了となる予定です.

 

終わりに

3日間のライブ配信期間,続くオンデマンド配信期間含め,いくつかの問題はあったものの,全体としては大きなトラブルなく開催を終えることができました.急な完全ウェブ配信への変更などがあったにもかかわらず,6500人以上の方々にご参加いただけたことは大成功であったと言えると思います.

学術集会が持つ意味は様々です.完全ウェブ開催となったことで,人と人とのコミュニケーションという役割は不十分になったかもしれません.しかし,最新の知識を入手したり,自分の目が届かなかった分野での成果が新たな刺激になったりといった点で多くの意義を感じていただけたのではないかと思います.何よりも,様々な課題に,多くの人が取り組み,それを乗り越えようとしている様子に触れることは日々の診療,研究の活力になることでしょう.

我々の医局にとっても学術集会を開催するというのは非常に大きなことだったと思います.本学術集会が仙台で開催されるのは初めてのことであり,大変貴重な経験をさせて頂きました.学術集会を開催するというのは一朝一夕で出来るものではありません.会長講演を拝聴していて感じましたが,張替教授を始め,これまで医局に関わっていただいた全ての方々のご尽力の積み重ねでもたらされたものと感じます.今後も張替先生を中心に力を合わせ,血液学会および血液疾患診療の発展に寄与していきたいと存じます.引き続きご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします.