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TOPリレーエッセイ > 第6回

リレーエッセイ

「留学当初のトラブル@」 白井 剛志

 2013年にStanford大学のポスドクとして渡米、今年の3月に帰国して早くも4か月が過ぎようとしている。渡米後1年もすれば米国生活を楽しめるようになっていたが、異国生活当初は予想外の出来事が多発していた。当時はかなり苦しめられたが、今となっては懐かしい思い出に昇格したのでこの機会に書いてみようと思う。

 第一のトラブルは渡米直後。Stanford周辺の賃貸物件は貸し手市場であり、なかなか渡米後にそこで探すのは難しい。そこで渡米前に、同時期に帰国する方のアパートを引き継がせてもらった。引き継ぎにあたって部屋をクリーニングする必要があったため、貸し倉庫を駐車場の一画に設置し、そこに家具一式を収納していただいていた。渡米後に家具一式を部屋に搬入、貸し倉庫の撤去(ネットでオーダー、1週間後)を依頼した後にそのトラブルは発生した。その時点で携帯電話は持っておらず、部屋にはネット環境なし、ただ、たまに飛んでくる電波がありなんとかネットをすることが可能だった。そこに次のようなアパートの大家からのメールがきた。“置いてある倉庫はいつになったら撤去されるのか。明日までに撤去されなければtow awayする。”とのこと。この時はあまりアメリカ式の生活に慣れていなかったので、急な展開にとてもびっくりした。

 アパートの事務所に行き話をすると、すごい勢いで“そこは消火栓があるから点検で見つかったら1000ドル払わなければいけない。それを払うか、早く電話して撤去するようにいえ!”とのこと。しばらくいると適当なことを言っているなと分かるが、その時は渡米直後。まずは電話を買いに行った。米国ではソーシャルセキュリーナンバーというマイナンバーみたいなものがある。渡米直後はこれを持っておらず、携帯の契約の際に余計なデポジットを請求されることとなった。兎にも角にも携帯を入手して、貸し倉庫の会社に電話。オペレーターは“すぐには無理だよ”と言ってきたが、それまでの経過を話して翌日に来てもらえないか頼むと、“それでは明日に手配した”との返事。それをアパートの人に伝え、その日は終了した。

 その翌日(金曜日)、当然のように貸し倉庫の回収は来ず。そして会社に連絡しても休みに入ったから月曜日に連絡するようにという音声のみが聞こえてくる。アメリカはこういう国か!というのを強く実感した瞬間だった。

 ただ幸いなことに週末になるとアパートのオフィスも休みになるので督促メールが週末は来なかった。その間に前住居者の方とコンタクトをとることができ、仲裁メールを送っていただいた。

 週明け、当然ながら貸し倉庫は依然同じ場所にあり、若干帰国したくなる。とはいえやるべきことはやったので、あとは天に任せ過ごすことにした。以前に予約した回収予定日の前日に電話があり、オーナーかと思いきや、貸し倉庫会社から回収予定時間の連絡だった。そして翌日、すごく気のいいメキシカンの人が回収にやってきた。色々と世間話をし、最後にお互い頑張ろうと言って彼は第一のトラブルを運び去ってくれた。もし彼が来なかったら、渡米後すぐに帰国になっていたかもしれない。

 その後も、ネット接続、車のトラブル、歯科治療など息を継ぐひまもなく問題が勃発したのだが、また次の機会があれば書きたいと思う。